HELICSチュートリアル「医療情報利用のための環境整備を目指して」
(2011年/平成23年11月20日 鹿児島市民文化ホール5F・市民ホール)

第31回医療情報学連合大会(第12回日本医療情報学会学術大会)に併設してチュートリアルを開催しました。

≪開催概要≫
日時: 2011年11月20日(日) 12:50~14:20
場所: 鹿児島市民文化ホール5F・市民ホール(第31回医療情報学連合大会C会場)
主催: 医療情報標準化推進協議会(HELICS協議会)
参加費: 無料(医療情報学連合大会の参加登録がなくても入場・参加可能)

●概要
 HELICS協議会は、2010年度医療情報学連合大会時及び2011年度医療情報学術大会時の2回にわたり、「医療情報標準化の基盤を今一度考える」と題して医療情報システムが蓄積してきた情報の活用に関する課題について取り上げてきました。医療情報利用の効果は、病院経営から保健医療行政、医療の質の評価(Quality Indicator)まで多方面にわたることが期待されるものの、それぞれに課題を抱えていることが明らかになってきました。
 それらに共通する課題として、有用なデータを医療情報システムが保持しているにもかかわらず、それらのデータの定義に関し統一性、整合性がないため、利用することが容易ではないことが明らかになりました。その背景に、同じようなデータが複数の場所に存在し、データに整合性がないことや、データ項目名がそれぞれ独自につけられて体系的に整理されていないこと、存在場所が明らかでないこと、データは存在するものの処理可能なデータ形式でないこと、データ相互の関係や属性が明らかでないこと等、多方面に課題があることが浮かび上がってきました。

 一方、厚生労働省は2011年度より「医療情報データベース基盤の整備事業」を立ち上げました。この事業は医療情報データベースの活用による医薬品等の安全対策の向上を目指すもので、全国の10か所程度の拠点医療機関から1,000万人規模のデータを収集し利用可能とするための医療情報データベースを構築します。医療情報データベースについては、疫学的手法を利用し、医薬品等のリスク・ベネフィットの正確・迅速な評価を行い、副作用に関する情報を見つけ出す等、安全対策に活用することを目指しています。当事業実現の背景には、電子カルテシステムの普及とともに、基本的な臨床情報が標準化された形で収集することが可能になったことがあります。そのことに対してHELICS協議会が果たした役割は大きいと考えられます。しかし一方で、複数の医療機関のデータを統合的に処理するうえでの課題も明らかになってきました。これらの課題の多くは、過去2回のHELICSシンポジウムで明らかになった課題と共通しています。
 そこで今回のシンポジウムでは、我が国の医療情報標準化の新たな方向性を示すことを視野に入れ、「医療情報データベース基盤の整備事業」の実現のための課題を整理するとともに、医療の質向上にも資する医療情報の利用を可能とする標準化の課題について議論を進めたいと考えます。

●プログラム
  司会:
   篠田 英範(HELICS協議会広報委員長)

1.「医療情報標準化とHELICSの役割」   配布資料(PDF)
   豊田 建(HELICS協議会理事)

2.「医療情報システムから得られる医療情報」   配布資料(PDF)
   大江 和彦(東京大学大学院医学系研究科教授)

3.「米国におけるセンチネル・イニシアティブ」   配布資料(PDF)
   稲岡 則子(日本アイ・ビー・エム株式会社)

4.「厚生労働省「医療情報データベース基盤の整備事業」」   配布資料(PDF)
   遠藤 あゆみ(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)

5.「臨床疫学からみた医療情報標準化の課題」
   岡田 美保子(川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部教授)

6.パネルディスカッション「医療情報の利用へ向けた標準化の課題と施策」
  司会:
   豊田 建(HELICS協議会理事)
  パネリスト:
   大江 和彦(東京大学大学院医学系研究科教授)
   稲岡 則子(日本アイ・ビー・エム株式会社)
   遠藤 あゆみ(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
   岡田 美保子(川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部教授)
   嶋田 元(聖路加国際病院医療情報センター副センター長)
   佐々木 文夫(日本電気株式会社)